外国人介護人材受入れコラム
ヒューマンライフケア株式会社の「特定技能登録支援事業」では、長年の介護事業での実績を活かし、
介護事業者様の外国人介護人材受入れをサポートしています。
このサイトでは、外国人介護人材の受入れに関連するコラムを随時更新してまいります。
67
外食分野の特定技能受入れ停止が投げかけること
―介護にも迫る「上限到達時代」の現実

2026年4月、出入国在留管理庁は、特定技能1号「外食業分野」における新規の在留資格認定書(COE)の交付を一時停止しました。背景には、政府が認定している受入れ見込数(上限)5万人への到達が現実となったことがあります。
一見すると、この出来事は外食業界だけの問題のように見えます。しかし、介護事業を運営する法人や、外国人材の採用を進める他分野の企業にとっても、決して無関係ではありません。
むしろ今回の出来事は、「特定技能制度は受入れ人数が無限ではない」という現実を、初めて突き付けた象徴的な出来事と言えるでしょう。
なぜ受入れ停止に?
特定技能制度について、日本政府は各産業分野ごとに5年間の受入れ見込数(上限)を設定しています。
外食業分野では、2026年2月末時点で在留者数が4万6,000人となり、このまま推移すれば5月頃には上限の5万人を超える見込みとなりました。そのため農林水産大臣は法務大臣へ交付停止を要請し、2026年4月13日以降、新たに受理された在留資格認定証明書交付申請は原則として不交付となりました。2026年7月時点でも、出入国在留管理庁は外食業分野における特定技能1号の新規受け入れ停止措置を継続しています。
重要なのは、「制度そのものが停止した」のでは無い、ということです。
停止対象となったのは、海外から新たに外国人材を呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請です。一方で、
□すでに在留している特定技能外国人の在留期間更新
□外食業分野内での転職
□一定条件を満たす、技能実習からの移行
などは、受入れ見込数の範囲内で引き続き審査・許可が行われています。
現時点では、政府からの受入れ停止解除・受入れ上限数の見直しについての正式な発表はありませんが、特定技能制度自体を止めるのではなく「既に日本で就労している人材を有効活用する」という方向へ政策運用がシフトしていることの表れと考えられます。
2026年7月までに起きた「3つの変化」
4月の受入れ停止から3か月が経過した2026年7月現在、外食業分野ではどのような変化が起きたのか、検証していきます。
①新規採用競争から「定着競争」へ
受入れ停止以前、多くの外食企業は「必要になれば海外から採用できる」という前提で人材確保を進めていました。
しかし新規採用ルートが閉ざされたことで、既に在籍している外国人スタッフの離職防止が最優先課題となりました。
待遇改善や教育制度、日本語学習支援、キャリア形成支援など、「採用」よりも「定着」へ投資をシフトする企業が増えています。これは人材不足が慢性化する介護業界でも既に進んでいる流れであり、外食業界はその重要性を改めて認識することになりました。
②国内人材の奪い合いが激化
海外からの新規受入れが難しくなると、企業は国内で既に在留している外国人材へ、採用対象を切り替えます。
結果として、特定技能外国人の転職市場が活発化し、人材紹介会社や登録支援機関を通じたスカウトが増加しています。
採用条件だけでなく、
●教育体制
●キャリアパス
●日本語学習支援
●生活支援
●人間関係
など「働き続けたい職場」としての条件が揃っていることが、企業の競争力となり始めています。
また、外食業分野では以前から留学生アルバイトを積極的に活用していましたが、今後は大学や日本語学校などとの連携を強化し、卒業予定者の採用へ力を入れる企業が増えることも予想されます。
③DX・省人化投資を前倒し
外食業分野では人員不足に対応するため、モバイルオーダーやセルフレジ、配膳ロボットやオーダーシステムなど、省人化設備への関心が高まっています。
この流れは受入れ停止以前からありましたが、「外国人が採用できなくなった」ことで、投資判断を早める企業が増えていると言われています。
この動きは介護分野にも波及する?
現時点で、介護分野での受入れ停止は実施されていません。
しかし、政府が公表している受入れ見込数を見ると、介護分野の特定技能外国人数も年々大きく増加しています。
介護分野の受入れ見込数は2029年までに12万6,900人とされていますが、現在と同等の増加傾向が続けば、外食業分野と同様の議論が近い将来的に起こる可能性は否定できません。
だからこそ、「必要になったら採用する」という考え方から、「今いる人材に長く活躍してもらう」という経営へ転換できるかが重要になります。これは2027年度介護報酬改定で議論されている人材マネジメント評価とも方向性は一致しており、外国人材の教育・定着・キャリア形成を経営課題として位置づける必要性は、今後さらに高まると考えられます。
今後の見通し
外食業分野で起きた受入れ停止は、一時的な制度運用ではありますが、日本の外国人材政策が「採用人数の拡大」から「限られた人材をいかに活躍・定着させるか」という新たなフェーズへ移行したことを象徴する出来事とも言えます。
2026年7月時点でも外食業分野の停止措置は継続しており、政府から解除の時期は示されていません。今後受入れ見込数の見直しや制度改正の議論が進む可能性はありますが、それを待つのではなく、企業側が教育体制やキャリア支援、処遇改善を通じて「選ばれる職場」を構築できるかどうかが、人材確保の成否を左右する時代になっています。
介護業界においても、この出来事を「外食業だけの問題」と捉えるのではなく、自法人・施設の外国人材戦略を見直す契機とすることが重要ではないでしょうか。
* * * * * * *
【2027年改定『人材マネジメント評価』対策シリーズ】
第3回 評価・収益化編
「2027年改定を増収に変える『5つの外国人材マネジメント改革』」
2026年7月30日(木)15:00~16:00開催













