外国人介護人材受入れコラム
ヒューマンライフケア株式会社の「特定技能登録支援事業」では、長年の介護事業での実績を活かし、
介護事業者様の外国人介護人材受入れをサポートしています。
このサイトでは、外国人介護人材の受入れに関連するコラムを随時更新してまいります。
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要望書から読み解く27年度介護報酬改定

2026年5月19日(火)、一般社団法人 全国介護事業者連盟(介事連)は自由民主党「地域の介護と福祉を考える参議院議員の会」に対し、「令和9年度介護報酬改定に関する要望事項」を提出しました。さらに6月3日には、自由民主党外国人政策本部へ「介護・福祉人材の確保における外国人材活用の課題に係る要望書」を提出しています。
これらの要望は、介護事業所の経営者や人事採用責任者にとって非常に重要な内容です。なぜなら、今後の介護報酬改定や外国人介護人材政策の方向性を示唆しているからです。
本稿では、両要望書の内容を整理しながら、介護事業運営法人として押さえておくべきポイントを解説します。
まず押さえておきたい背景
全国介護事業者連盟は、現在約6,500法人・約39,700事業所が参加する業界団体であり、「産業化の推進」と「生産性向上」を主要テーマに活動しています。
今回の要望の根底にあるのは、
□長引く物価高騰
□人件費の上昇
□他産業との賃金格差拡大
□深刻な人材不足
□介護事業者の倒産増加
という現場の危機感です。
介事連は、現在の介護業界を「経営環境と人材確保の双方で極めて厳しい状況」と位置付けています。
要望① 過去に例のない大幅な介護報酬引き上げ
今回の要望の中心はここです。
介事連は令和9年度介護報酬改定において、「物価高に応じた過去に類を見ない大幅な報酬増」を求めています。
特に、
□基本報酬単位の引き上げ
□処遇改善のさらなる拡充
の両方を求めています。
介護事業所の経営者であれば実感されている通り、光熱費、食材費、消耗品費、車両費などのコストは数年前と比較して大きく上昇しています。
介事連は、令和8年度の臨時改定が主として処遇改善対応だったことを評価しつつも、それだけでは物価上昇分を十分に吸収できないと主張しています。
要望② 介護報酬改定を「3年に1回」から「2年に1回」へ
介事連は制度面でも大きな見直しを提言しています。それが、介護報酬改定サイクルを3年ごとから2年ごとへ変更することです。
要望書では、
□デフレ時代に作られた制度設計
□現在のインフレ環境との乖離
□物価変動への対応の遅れ
を問題視しています。
介護事業所側から見ると、物価や賃金が毎年変動しているにもかかわらず、報酬改定が3年ごとでは経営実態とのズレが大きくなるという考え方です。
要望③ 処遇改善加算の抜本的見直し
人事採用責任者にとって特に注目すべき内容がこちらです。
介事連は
□処遇改善加算のさらなる拡充
□一部を基本報酬へ組み込むこと
□制度の簡素化
を求めています。その背景には、
■算定事務の複雑化
■書類作成負担の増加
■現場の事務負担増
があります。
要望書では、極めて算定率の高い加算については基本報酬への組込みも検討すべきとしています。これは事業所にとって、「加算取得のための事務作業」から「実際の人材育成や定着施策」へ、リソースを振り向けられる可能性につながります。
要望④ 外国人介護人材の受入れ拡大
6月3日に提出された外国人政策本部向け要望書の中心テーマは、外国人介護人材の確保です。
要望書では、介護・福祉分野における外国人材確保のため、特定技能1号(介護)の受入れ上限人数の見直しが求められています。
現在、介護分野の特定技能1号の受入れ見込数は約13.5万人とされています。一方で、介護分野の特定技能在留者数は近年急増しており、2023年末の約2.8万人から、2025年末には約6.5万人規模まで拡大しています。
実際に現在のペースで受入れが進むと、2027年前半から半ば頃には介護分野の特定技能受入れ枠が上限に近づく可能性がある、との試算もあります(※)。
介事連は、2026年に外食分野で特定技能人材の受入れ枠が上限に達し、新規受入れが停止された事例を踏まえ、介護分野でも将来的に同様の事態が起こる可能性を指摘しています。
介事連が今回の要望書で受入れ上限の見直しを求めている背景には、「外国人介護人材が今後の介護提供体制を支える前提となっているにもかかわらず、制度上の受入れ枠が将来的な制約になりかねない」という強い危機感があると考えられます。
要望⑤ 生産性向上と科学的介護の推進
介事連は報酬増だけを求めているわけではありません。要望書では、
●生産性向上
●自立支援
●重度化防止
●科学的介護
の推進も求めています。
特に、「科学的介護を生産性向上の重要な指標として位置付けるべき」という考え方が示されています。
これはつまり、「報酬を上げてほしい」だけではなく、「事業者側も生産性向上に取り組む」という姿勢を明確にしている点が特徴です。
要望⑥ 介護物資・介護機器の供給リスク対策
要望書では、中東情勢の影響による介護機器や介護物資の供給不安にも言及しています。
現時点では大きな影響は出ていないとしながらも、
■相談窓口の設置
■不足状況の把握
■備蓄品の迅速放出
などの仕組みを事前に準備しておくべきと提言しています。
介護事業者が今から準備すべきこと
今回の二つの要望書から読み取れるのは、「報酬引き上げ」と「外国人材活用」と「生産性向上」が一体で議論されているという点です。
介護事業運営法人の責任者や人事採用責任者としては、これらを踏まえ
●外国人介護人材の受入体制整備
●日本語教育や国家試験支援
●ICT・介護テクノロジー活用
●科学的介護への対応
●定着を前提とした人材育成
を今後さらに強化していく必要があると言えるでしょう。
2027年度介護報酬改定は、単なる報酬改定ではなく、「介護事業の持続可能性」と「人材確保のあり方」が問われる改定になりそうです。今回の全国介護事業者連盟の要望は、その議論の方向性を示す重要なメッセージとして注目しておくべきでしょう。
【出典】
○一般社団法人日本介護事業者連盟「令和9年度介護報酬改定に関する要望事項」
○一般社団法人日本介護事業者連盟「介護・福祉人材の確保における外国人材活用の課題に係る要望書」
○株式会社JJS 「2026年4月最新 特定技能『残り枠』調査」より
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