外国人介護人材受入れコラム
ヒューマンライフケア株式会社の「特定技能登録支援事業」では、長年の介護事業での実績を活かし、
介護事業者様の外国人介護人材受入れをサポートしています。
このサイトでは、外国人介護人材の受入れに関連するコラムを随時更新してまいります。
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外国人介護人材・戦略のカギは
育成就労制度への準備とパート合格?

2026年度の下半期がスタートしました。介護業界では人材不足や物価高騰・賃金上昇への対応に加え、2027年度の介護保険制度改正と介護報酬改定、さらに2027年4月に施行予定の「育成就労制度」に向けた準備が、いよいよ本格化します。
さらに2027年1月31日には、第39回介護福祉士国家試験が実施されます。前回の試験から導入された「パート合格制度」は、外国人介護人材の国家資格取得を支援するだけでなく、特定技能1号の在留期間にも関係する重要な制度です。
今回は、9月後半からの動向を改めて確認するとともに、既に公表されている制度変更を踏まえ、今後注目すべき動きについて整理します。
2027年度介護報酬改定「5つの基本的な視点」が示される
2026年9月30日(水)に開催された厚生労働省の第268回社会保障審議会介護給付費分科会では、「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」が示されました。
内容は、大きく次の5つです。
① 物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善
② 人口減少・サービス需要に応じたサービス提供体制の構築
③ 地域包括ケアシステムの深化
④ 職場環境の改善と生産性向上を通じたサービスの質向上・介護人材確保
⑤ 制度の安定性・持続可能性の確保
特に経営者・人事担当者が注目したいのは、物価・賃金上昇を介護報酬へ適切に反映し、「他職種と遜色のない処遇改善」を実現する方向性が示されたことです。
また、介護人材の確保・定着に加え、AIなどの介護テクノロジー、タスクシフト・シェアによる生産性向上も明記されました。
現時点では個別の報酬単位や加算要件が決まったわけではありません。しかし、2027年度改定では「人を採用する」だけでなく、処遇改善、職場環境改善、生産性向上を組み合わせた人材戦略が一段と重要になることが読み取れます。
育成就労制度は準備段階から実務段階へ
外国人材採用においては、2027年4月1日に「育成就労制度」が施行されます。
育成就労制度は技能実習制度を発展的に解消し、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成するとともに、人材確保につなげる制度です。
介護分野では、本人意向による転籍の制限期間を「2年」とすることが示されています。一方、1年を超える転籍制限期間を設定する受入れ機関には、介護職員等処遇改善加算の取得等に加え、外国人ごとの「育成就労キャリア支援プラン」の作成などが求められます。
つまり新制度では、単に「外国人を採用して3年間働いてもらう」という考え方では十分ではありません。
日本語教育、介護技術、キャリア形成、特定技能への移行までを含めた育成計画を、法人側が具体的に設計する必要があります。
2027年4月から受入れを検討している法人では、採用計画だけでなく、教育担当者、研修内容、評価方法、キャリア面談などを2026年度中に整理しておくことが重要です。
日本語試験についての新たな案内
育成就労制度については、10月5日(月)にも新たな動きがありました。
出入国在留管理庁は育成就労制度の情報ページを更新し、「JLPT(日本語能力試験)N4・N5受験申込みを検討中の方へ、JFT-Basicの活用をお勧めします」とする案内を掲載しました。
育成就労制度では日本語能力が重要な要件となるため、今後は採用時だけでなく、入国後の日本語教育や試験受験のスケジュール管理も重要になります。
介護分野では利用者とのコミュニケーション、申し送り、介護記録、事故・緊急時の対応など、日本語能力がサービスの質や安全性に直結します。
そのため、「制度上必要な日本語レベルをクリアする」ことだけを目的にするのではなく、現場で必要な日本語能力を段階的に身につける教育体制を構築することが、定着や戦力化の面でも重要になります。
第39回介護福祉士国家試験に向けて
もう一つ、10月以降に外国人介護人材を受入れる法人が意識したいのが、介護福祉士国家試験です。
第39回介護福祉士国家試験は2027年1月31日(日)に実施され、3月23日(火)に合格発表が予定されています。受験申込みは9月2日(水)で終了しているため、ここからは受験予定者への学習支援が本格化する時期となります。
外国籍の受験者については、申請により、すべての漢字にふりがなが付記された問題用紙の配布や試験時間延長などの配慮も行われます。
法人としては、対象職員の受験状況を把握したうえで、勤務シフトの調整、学習時間の確保、模擬試験、専門用語や長文読解への支援などを年内から計画的に進めたいところです。
2年目を迎える「パート合格制度」に注目
第39回試験で特に注目したいのが、前回の第38回試験から導入された「パート合格制度」です。
介護福祉士国家試験をA・B・Cの3パートに分け、試験全体では不合格でも一定の基準を満たしたパートを合格とし、翌年・翌々年の試験ではそのパートの受験が免除される制度です。
初年度となった第38回試験全体では、受験者78,469人、合格者54,987人、合格率70.1%でした。一方、全体の合格基準には達しなかったものの、パート別ではAパート:3,935人、Bパート:1,509人、Cパート:6,181人が合格しています。なお、複数パートに合格した受験者がいるため、人数には重複があります。
第38回試験でパート合格した人は、第39回試験では「不合格だったパートだけを受験する」か、「合格済みを含め全パートを再受験する」かを、受験申込時に選択できます。
外国人職員の国家資格取得支援という観点では、一度の不合格で学習をゼロからやり直す必要がなくなったことは大きな変化です。
「特定技能1号の5年上限」にも関係
外国人材を受入れる法人にとってさらに重要なのが、パート合格と在留資格との関係です。
介護分野の特定技能1号は原則として通算5年が上限ですが、5年経過直前の介護福祉士国家試験で全パートを受験し、
● 1パート以上に合格している
● 総得点が国家試験合格基準点の8割以上である
● 翌年度の国家試験を受験する意思がある
● 所属機関が本人とともに具体的な学習計画を作成する
など一定の要件を満たした場合、最長1年間の在留期間延長が可能となりました。
これは外国人職員本人だけの問題ではありません。所属機関側にも、国家試験対策講座や研修の受講予定を含めた学習計画の作成・提出が求められます。
そのため今後は、「在留期間管理」と「国家試験対策」を別々に管理するのではなく、一体的に管理する必要があります。
「育てる仕組み」の再設計へ
介護事業者が2026年度下期に取り組むべき人材戦略は、明確になりつつあります。
まず、外国人職員ごとに在留資格・在留期限、介護福祉士国家試験の受験歴、パート合格状況、日本語能力を一覧化すること。そのうえで、2027年1月の国家試験、4月の育成就労制度施行、そして2027年度介護報酬改定を、一連のスケジュールとして捉える必要があります。
育成就労制度では「育てる仕組み」が、これまで以上に問われます。一方、介護報酬改定でも人材確保・定着、処遇改善、職場環境改善、生産性向上が重要なテーマとなっています。
外国人介護人材についても、これからは「何人採用できたか」だけでなく、「どのように育成し、資格取得につなげ、長期的な戦力として定着してもらうか」が重要になります。
2026年度下期は、2027年度の制度変更を待つ期間ではありません。採用・教育・資格取得・キャリア形成・定着を一つの人材戦略として再設計する期間に入ったと言えるでしょう。
【参照・出典資料】
厚生労働省「第268回社会保障審議会介護給付費分科会」
厚生労働省「介護分野における育成就労制度について」
出入国在留管理庁「育成就労制度」
厚生労働省「第39回介護福祉士国家試験の施行について」
厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表」
※公開日:2026年10月6日













