外国人介護人材受入れコラム
ヒューマンライフケア株式会社の「特定技能登録支援事業」では、長年の介護事業での実績を活かし、
介護事業者様の外国人介護人材受入れをサポートしています。
このサイトでは、外国人介護人材の受入れに関連するコラムを随時更新してまいります。
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9/3の審議から見える「5つの変化」とは?

2026年8月28日(金)に開催された厚生労働省「第263回社会保障審議会介護給付費分科会」では、「介護人材の確保に向けた処遇改善」「介護現場の生産性向上」「高齢者虐待防止・リスクマネジメント」「BCP」「ハラスメント対策」が議題となりました。
続く9月3日(木)の第264回分科会では、「認知症への対応力強化」「医療・介護連携」「人生の最終段階の医療・介護」「科学的介護情報システム(LIFE)」「口腔・栄養」「多床室の室料負担」が俎上に載りました。
ここまでの議論を俯瞰すると、2027年度改定は単なる「基本報酬や加算が何単位になるか」という改定ではなく、介護事業者の人材・データ・医療連携・専門職連携・ケアの質を一体的に評価する方向へ進んでいることが見えてきます。
注目1:
LIFEは「データを出す仕組み」から「成果を見る仕組み」へ
9月3日の資料で特に注目したいのがLIFEです。
厚労省によると、2025年4月時点でLIFEを利用している事業所は、施設系サービスで約7割、通所・居住系サービスで約5割まで拡大しています。
一方、LIFE関連加算は17種類あり、加算間で提出項目が重複しているなど、現場の事務負担も課題となっています。
そこで今回、厚労省が論点として明確に示したのが、「データ提出」と「アウトカム評価」を今後どうするかです。
これは重要なポイントです。
これまでのLIFEは、「必要なデータを提出してフィードバックを受ける」という運用面に注目が集まりがちでした。しかし今後は、ADL、栄養状態、口腔機能、褥瘡、排せつなどについて、「データを提出したか」だけではなく、そのデータを使ってケアを改善し、どのような結果につながったかがより重視される可能性があります。
同時に、厚労省では提出項目の整理や現場負担の軽減も検討しています。
つまり事業者側では、「LIFE入力担当者を決める」だけでなく、LIFEのデータをケア会議や人材育成、サービス改善に利用する仕組みまで作れるかがポイントになりそうです。
注目2:
認知症ケアは「対応」から「本人の意思・社会参加」へ
認知症についても、大きな方向転換が見えます。
厚労省資料では、2022年時点で認知症高齢者は約443万人、MCI(軽度認知障害)は約559万人と推計され、両者を合わせるとすでに1,000万人を超えています。2040年には約1,200万人となり、高齢者のおよそ3.3人に1人が認知症またはMCIになる見込みです。
今回の論点で特徴的なのは、単に「認知症の症状に対応できるか」だけではなく、本人の意向を尊重した生活、日常生活動作、社会参加をどう支えるかが打ち出されたことです。
認知症専門ケア加算などの研修要件についても検討課題とされました。
今後、認知症研修を「加算を取るための研修」として終わらせるのではなく、本人主体のケアを実践できる職員をどう育成するかという、人材マネジメント上のテーマへ広がっていく可能性があります。
これは外国人介護人材の育成にも無関係ではありません。外国人職員にも、身体介助の技術だけでなく、認知症の方とのコミュニケーション、意思決定支援、「その人らしい生活」を理解する教育が、これまで以上に重要になるでしょう。
注目3:
2027年3月末に迫る「協力医療機関」の経過措置終了
施設系サービスを運営する法人が、特に注意しておきたいのが医療機関との連携です。
2024年度改定では、特養、老健、介護医療院などに対し、一定の要件を満たす協力医療機関を定めることが義務化され、2027年3月31日までの3年間の経過措置が設けられました。
ところが今回示された調査では、要件をすべて満たす協力医療機関を確保している割合は、特養67.9%、老健83.3%、介護医療院84.9%にとどまります。
つまり、2027年度改定とほぼ同じタイミングで経過措置が終了するにもかかわらず、まだ対応が完了していない施設が存在するということです。
厚労省は今回、協力医療機関の確保状況を踏まえ、今後の制度の在り方そのものを論点に挙げました。
一方で、離島や中山間地域では数少ない医療機関に集中してしまうなど、協力医療機関の要件を全て満たす体制の整備割合には地域差があり、地域の事情に応じた柔軟な運用や、オンライン診療やICT機器の積極的な活用推進を求める声もあります。
対象施設では、「協力病院があるから大丈夫」と考えるのではなく、常時の相談・診療体制、必要時の入院受入れなど、制度上求められる要件を満たしているかを改めて確認する必要があります。
注目4:
ACP・看取りは一部施設だけのテーマではなくなる可能性
もう一つ注目したいのが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)と看取りです。
ACPとは、もしもの時に備えて自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有するプロセスのことです。厚労省はこの取り組みに「人生会議」という愛称をつけて普及を進めています。
厚労省は、死亡者数が2040年まで増加し、死亡場所として自宅や老人ホームなどが増加していることを示しています。
そのうえで今回、「各サービスにおけるACPの位置づけをどう考えるか」「本人が望む場所でより質の高い看取りを実施するにはどうするか」「サービス類型ごとに異なる看取り評価をどう考えるか」が論点として提示されました。
これまで看取りは、特養や介護医療院など一部の施設サービスを中心に捉えられがちでした。しかし今後は、本人の意思を確認し、家族・医療・介護が共有するプロセスそのものが、より幅広い介護サービスに求められる可能性があります。
施設長だけでなく、介護職、看護職、ケアマネジャーを含めたACP教育や、意思確認・記録・情報共有の仕組みを整えておく必要があります。
注目5:
「口腔・栄養・リハ」の一体化―専門職不足が新たな経営課題に
9月3日の資料では、口腔・栄養についても興味深いデータが示されています。
嚥下調整食を必要とする入所者は、特養で57.5%、老健48.8%、介護医療院では75.3%。一方、栄養関連加算を算定しない理由として、「人手不足で時間を割けない」が約6割、「管理栄養士との連携が難しい」が約5割となっています。
リハビリ・機能訓練、栄養、口腔を一体的に行う取組についても、専門職確保の難しさが非算定理由として挙げられています。
2027年度改定では、こうした加算を整理・簡素化しながら、多職種による一体的なケアをどう評価するかが焦点となりそうです。
これは人事担当者にとっても重要です。今後の人材戦略では、介護職員の「人数」だけでなく、管理栄養士、歯科衛生士、PT・OT・STなどを含め、必要な専門性を法人内外からどう確保するかが報酬にも直結する可能性があります。
2027年度改定への準備は「加算表が出てから」では遅い
8月28日と9月3日の議論を合わせて見ると、2027年度改定の方向性がかなり見え始めています。
キーワードは、「人材」「生産性」「データ」「医療連携」「多職種連携」「アウトカム」です。
さらに2027年4月には、外国人材制度でも育成就労制度がスタートします。2026年9月1日からは育成就労計画の施行日前申請も始まり、外国人材政策も「制度を待つ段階」から「実際に受入れ準備を進める段階」に入りました。
したがって、介護事業者が2026年度下期に行うべきなのは、改定の単位数を予想することではありません。
LIFEを活用できているか、認知症ケアを担える人材がいるか、協力医療機関との体制は要件を満たしているか、ACPや看取りについて職員教育ができているか、口腔・栄養・リハを担う専門職と連携できているか。そして、日本人・外国人を問わず、それらを実践できる職員を育成・定着させられるか。
2027年度改定への対応は、すでに「制度情報を集める段階」から「自法人の体制を点検する段階」に移ったと考えておいた方がよいでしょう。
※公開日:2026年9月8日














