外国人介護人材受入れコラム
ヒューマンライフケア株式会社の「特定技能登録支援事業」では、長年の介護事業での実績を活かし、
介護事業者様の外国人介護人材受入れをサポートしています。
このサイトでは、外国人介護人材の受入れに関連するコラムを随時更新してまいります。
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消費減税、事業者が本当に備えるべきは?

前回の本稿では、高市内閣が進める食料品の消費税減税などの税制議論について、介護事業者への影響を考察しました。
利用者や家族の生活支援という側面では一定の効果が期待される一方で、介護事業者にとって本当に注目すべきなのは「社会保障財源が今後どのように確保され、その結果として介護報酬制度がどう変わるのか?」という点です。
実際、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会では、2027年度(令和9年度)介護報酬改定に向けた議論が本格化しています。
2026年4月以降、サービス種別ごとに課題整理が進められ、7月には介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・特定施設入居者生活介護、さらに人口減少社会を見据えたサービス提供体制などが主要テーマとなりました。
「どれだけ配置したか」から「どのような成果を生み出したか」へ
今回の議論で共通して見えてくるのは、「人員を配置していること」を評価する仕組みから、「質や成果」を評価する仕組みへの転換です。
2024年度介護報酬改定では、生産性向上推進体制加算や処遇改善加算の一本化など、すでにその流れが始まっています。
2027年度改定では、さらに次のような視点が強まる可能性があります。
●人材の定着率や育成体制
●ICT・介護DXの活用状況
●LIFEなどデータを活用したケアの質向上
●多職種連携によるアウトカム
●地域包括ケアへの貢献
●限られた人員で持続可能な運営体制
つまり、「人が充足している」という状況だけでは評価されにくくなり、「限られた人材をどう育て、どう活かしているか」が評価の対象になっていくと考えられます。
社会保障財源の制約が改定議論に与える影響
一方で、介護報酬改定は介護現場の課題だけで決まるものではありません。
介護保険給付費は、保険料、公費、そして国の社会保障予算によって支えられています。
政府が消費税負担の軽減策を進める場合でも、社会保障制度を維持するための代替財源をどのように確保するかが大きな課題となります。
現時点で「介護報酬を抑制する」といった方針は示されていませんが、財政規律と社会保障の充実を両立させる必要がある以上、介護分野でも「限られた財源をどこへ重点配分するか」という視点が、これまで以上に重視されることは避けられないでしょう。
その結果、すべてのサービスに一律の報酬引き上げを行うのではなく、
●人材確保に効果がある取り組み
●生産性向上に資する投資
●医療・介護連携を強化する取り組み
●科学的介護を実践する事業所
などへ、重点的に評価を行う方向性が強まる可能性があります。
介護給付費分科会で繰り返し議論されているキーワード
2026年の介護給付費分科会資料を見ると、サービス種別は異なっていても、共通して議論されているテーマがあります。
第一は「人口減少への対応」です。
地域によっては介護需要そのものが減少する一方、都市部では需要増加が続くなど、地域差が拡大しています。
そのため、事業所単位ではなく地域全体でサービス提供体制を維持するという考え方が強まっています。
第二は「生産性向上」です。
これは単なる人件費削減ではありません。ICT、見守り機器、AI記録支援、情報共有の効率化などを活用し、職員が利用者と向き合う時間を増やすことが目的とされています。
第三は「介護人材の確保と定着」です。
慢性的な人材不足が続くなか、採用だけでなく「辞めない職場づくり」が重要なテーマとなっています。
外国人介護人材も「戦力化」が評価の対象へ
外国人介護人材についても、議論の焦点は人数から質へ移っています。
これまでのような「受入れていること」ではなく、教育体制や日本語習得支援、キャリア形成、介護福祉士国家試験対策支援、定着率などを、どのように実現しているかが問われる可能性があります。
介護現場では外国人材を受入れても教育担当者への負担が大きく、十分な育成ができないという課題が少なくありません。
しかし、今後の制度では「教育への投資」そのものを左右する可能性があります。
DXは「補助金事業」から「経営要件」へ
これまでICT導入は、補助金を活用した設備投資という位置づけでした。
しかし2027年度改定では、DXは「あれば便利」という段階から、「経営基盤を支える前提条件」へ移行する可能性があります。
LIFEへのデータ提出は、介護記録システム、オンライン連携、AIによる記録支援などを組み合わせることで、業務効率だけでなくケアの質を可視化することが期待されています。
介護給付費分科会でも、生産性向上と質の向上を両立するためのICT活用は継続的な検討テーマとなっています。
今から取り組むべき5つの準備
2027年度介護報酬改定まで、残された時間は決して長くはありません。
今から取り組みたいポイントは、次の5つです。
1. 離職率・定着率などのデータを、定期的に分析する
2. 外国人を含めた教育プログラムを標準化し、属人化を解消する
3. ICT・介護DXへの投資計画を、中長期で策定する
4. LIFEなどのデータ活用を、日常業務に定着させる
5. 自法人の経営目標を可視化し、報酬改定の影響をシミュレーションする
これらは、仮に新たな加算要件にならなかったとしても、採用力や定着率、業務効率の向上につながる「経営基盤づくり」として大きな意味があります。
おわりに
消費減税をはじめとする税制議論は、利用者の生活支援という側面では重要な政策です。しかし、介護事業者にとって本当に重要なのは、その先にある社会保障制度全体の再設計です。
2027年度介護報酬改定に向けた議論を見る限り、「人材」「DX」「科学的介護」「地域連携」「持続可能性」が、今後の評価軸になる流れは明確になりつつあります。
これからの介護経営では「制度が決まってから対応する」のではなく、制度が求める方向性を先読みし、先行投資を進める法人ほど競争力を高めていくでしょう。
社会保障財源に制約がある時代だからこそ、「限られた資源で、より高い価値を提供できる事業者」が選ばれる時代が始まっています。2027年度介護報酬改定は、その転換点となる可能性があります。














